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カノトイハナサガモノラ 感想

カノトイハナサガモノラ 8/13(火)マチネ公演@東京グローブ座
気がつけば観てから2ヶ月近く経っていたので ― 長いしまとまってないけど感想を供養したい。観劇直後のメモを頼りに書いています。
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TTT第1弾戸惑いの惑星がすごく好みの作品だったこともあり、第2弾にも期待していた。
カノトイハナサガモノラについて、事前情報からわかるのは当て書きが強そうだということ*1。個人的に少し不安だった。完全フィクションなら安心して見れるけど、内輪ノリっぽいのが出たらついていけるだろうか?トニセンのことは大好きだけど、この作品も好きになれるだろうか?と思いながら劇場に向かった。

結論からいうとそんなのは杞憂で、エンディングで静かに涙を流す自分がいた。歌を堪能できて、笑いが漏れる場面も多かったから、最後いつのまにか泣いてた自分にびっくりしたよ……。生の作品が持つエネルギーの大きさを感じた瞬間だった。
剥き出しのソウルに全ての感覚器官を揺さぶられる。ある種のパワースポットみたいな作品だった……。パワー!ソウル!っていっても無遠慮な根明体育会系って感じではなくて、ところどころ不躾で荒削りな台詞はあるんだけど、全体としてはゆるやかに肯定してくれるんだよなぁ 荒々しくも紳士的、じわじわくるって表現が近いかも。

ゆるトーク風だけどオフじゃない

まずおじさんたち、ホントっぽい虚構空間を作り出すのが本当に上手い!今までも楽屋裏風コント*2や雑談っぽいけどしっかり台本があるラジオ*3、フリートークからはじまる舞台*4やら実績がいっぱいあるけど、"カテコ風だけどカテコじゃない"は新しかったな。またそれがいつものコントとは毛色が違って、ただ単に笑かしにきてるわけじゃなかったからぞわぞわした。


「歯医者行って歯の神経を抜いたんだよね」という雑談から「神経が無い=感覚が死んでるってこと」「たまには死を意識したほうが良い。死を意識する機会が減ることで生が希薄になる」まで発展するシーン。死は瞬間で、生は連続的。それに死って誰もがこれから経験するもの、同時に誰もまだ経験したことがないものだと思うと興味深かった。
あとは歯医者でバイトしててよかったって初めて思った(笑)神経抜くって大手術に思えるけど、歯医者の先生ってわりとぽんぽん抜くんだよね~。うちの先生はトニ世代の真面目な感じの方なんだけど、抜髄について聞いてみたらめっちゃ認識軽かった。これはサザン歌い出してもやむ無し。サカモトくんお大事に。

ニコン

2009HONEYコンを連想させる青のスーツや、コントっぽい台詞と演出、昔のトニセン曲があいまって、過去のトニコンリスペクトなのかな?と感じた*5
バンドメンバーと機材のスペースがあるぶん、3人が動ける奥行きが狭くて、ホールコンサートっぽくもみえたし。キャパと雰囲気はライブハウスかな。

トニセンの3人、V6のうちの上3人

最初の曲で坂本くんが長野くんのお尻を触るアクションがあって、これは自然発生的なやつじゃなくてこういう振り付けに違いない……!*6と確信。トニセン3人の舞台だけど、V6要素が入れてあるのは間違いなくて、その後かなり注意してV6・カミセン要素を探してたけど1回じゃ見つけきれなかったな~
強いていえば井ノ原くんの台詞がちょっと唐突でヘリクツっぽかったのが健くん要素なのかな?*7あとババア!って連呼してたし(笑)
剛くん要素とは……まさかキメ顔のくだりじゃないだろうしな……
終盤で語りかけるように歌われる「愛なんだ」*8。そして書き下ろし新曲の歌詞にカミセンの名前が入っててやっぱりね!!と思った*9

3人の本質

揃いの青スーツから着替えて、坂本くんは白のサマージャケット、井ノ原くんはラグランTシャツ、長野くんはインチキビジュアル系占い師みたいな毒々しい総柄衣装*10に。凄まじく統一性がないけど、これが3人ともよく似合ってたんだよな~
ソウル・ターミナル、魂の集う場所にいるということで、3人の本質の部分が表現されてるのだと思うけど、かなり的確だと思った。
ソロ曲コーナーでそれが顕著で、脚本・演出の御徒町さんからみた3人のイメージの演出が、圧巻だった。

坂本くんは"おんな"との絡みを優しくセクシーに、哀愁と一匹狼なところ、たまに顔を覗かせる根っこのヤンキー性。「さかもと、ここにいないみたいな時あるよ」が全てなんだと思います。タップダンスの静謐さには目が離せなかった。なのに歌詞はいじられるわ、雲(act.博)がクセ強すぎて持ってかれるわなんだか不憫なところが好きです。坂本くんに冬のイメージはあんまりなかったんだけど、静かに凍てつく感じが伝わってきて素敵なシーンだった。そういえば夏生まれなのに夏が嫌いって言ってたな。


長野くんはいちばん謎めいてて未知数でことばにするのが難しい。あと衣装も難しい。おそらくV6のファンの間では「長野くんを100%に輝かせる衣装や演出とは(現状まだ完全な良さが活かしきれてない可能性すらある)」って長年議論されてる気がするんだけど*11、これかなり正解に近いところいったんじゃないでしょうか。という感じ。ちょっとレトロで、奥底ではギラついてる。コントが誰よりも全力で照れがない。あと、ミステリアスだからこそ「長野くんはこうあってほしい」って理想の感情を周囲から持たれやすいんだろうなって改めて思った。ファンだけじゃなくて、メンバーや関係者の方からも……
周りからそんなふうに思われたまま普通に過ごせるって相当メンタル強いんだろうな凄いや*12……まあ天然なのもあるよね!好き!


井ノ原くんのトニセンにおける弟感。3人が出会ったとき17歳と16歳と12歳だったことを想像するといとおしさが溢れる。今や身の丈を知ってる大人だけど、少年の心(=ジャニーズイズム)を忘れず持ってるところが素敵。井ノ原くんジャニーさんの名前出しがち。
大人井ノ原くんのフライングに合わせて舞う子供井ノ原くん人形*13でちょっと涙出かけた。黒子に徹する年上2人もよかった。
あと御徒町さんにとって20年近い親友がアイドルやってるって不思議でくすぐったい感じなんだろうなーって。親友としてアイドルじゃないほうの顔をたくさん知ってるからか、全体を通して井ノ原くんの台詞は無礼なのが多いんだけど(笑)このシーンはやさしさに溢れてた。

まさかソロ曲がセトリ入りするとは思ってなくて嬉しい驚きだった。自担のソロ曲のうちで1,2を争うくらい好きなのがStranger than paradiseで、まさか2019年に生演奏で聞けると思わなかったよありがとう……!長野くんってめっちゃ異国を歩いてそうじゃないですか?あと、御徒町凧さんのブログの"雑記"に稽古中の様子が少し綴られてるんだけど、「確信は砂の城。」って言葉が出てきて驚いた。どのシーンのことかは言及されてなかったけど、わたしにとって長野くんを語るときに外せない言葉がまさに「砂の城」だったから……
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(イメージはこれ。鳥取砂丘 砂の美術館にて撮影した砂像作品です 2019/08/31撮)

ジャニーズという魂

彼らの年齢と落ち着き様を思うと結構びっくりするほど、あざとくて可愛らしい振り付けや仕草*14が所々に見受けられた。
一緒に観た妹いわく「え、Jr.人気に対抗してる?笑」。
年齢もキャリアも離れてるから、今のJr.と同じフィールドで戦うことは無いだろうけど、
「Jr.だった頃(30年前!)の心を忘れないまま、アラフィフアイドルというほぼ前人未到の道を切り開いていく」宣言だと感じた。「これからもいろんなことに挑戦するから期待してね!」の暗示。自分の大好きなグループから。こんなに嬉しいことってありますか??彼らのファンで良かった。好きになれて良かった。同じ時代に出会えて良かった。
これからもライフワークとしてTTTを続けてくれるはず。第三弾に期待しかない。



あいにく1回しか観られなかったから所々曖昧だし、把握しきれなかった部分もまだまだありそうのが心残りかなー*15

前半にショー、後半でストーリー展開とメッセージがあったから、確実にもう1回観たくなる構成上手いよね~~だってあの最後のカタルシスふまえたうえでショー観たいじゃん。
あとはそれぞれにぴったりの歌詞を割り当ててくれるじゃん~歌ってほしいこと歌ってくれて感無量、とか。



ここまでで4000字超えてる(!)
自分のなかで感じたことが揺らぐのが怖くて、他の人の感想とかほとんど読んでないから、ややひとりよがりな感じかな……
でも「感じたままでいいんだよ、言葉にすることで逆にわからなくなる/形を失ってしまうものがある(※意訳)」って序盤の台詞であったよね?だからそれを思ってすごく楽に書けてるし、
普段なら鍵つきの日記にしまっておくような思いをこうやって公開してる。*16
「言葉にすることで形を失う」ということを考えると、表現者って凄い仕事だと思う。アウトプットした瞬間に意味合いが変わってしまう感覚を何度も感じてるんだろうな、御徒町さんもトニセンも。


ともかくも素敵な作品に出会えてよかった!あの魂たちにもう一度会いたい……映像化を切に願っています。

三人の魂はまた旅をはじめるのかな。ボスに「いつまでいるんだい?!」って言われてたし……


あわせて

トニセン表紙&巻頭12pと脚本・演出の御徒町凧氏のインタビュー4pが掲載されている。トニセンのシックでスタイリッシュなスーツ姿からキュートな表情までが拝めて、さらに御徒町さんのトニセン評が3人の根幹の部分をかなり掘り下げていて、迫るものがある。流石、ことばを生業にされてる方だ……
舞台が始まる前に発売されたものだけど、観劇後に読み返して「脚本家さんの言葉これネタバレでは……?!」と感じてしまったほど、肉薄したインタビュー。舞台のタイトルが「カノトイハナサガモノラ」でしかありえなかったのと同じように、観た人にしかわからない魂的ななにか。

TVガイドPERSON VOL.83 (TOKYO NEWS MOOK 805号)

TVガイドPERSON VOL.83 (TOKYO NEWS MOOK 805号)

"特集 最高最上級の三紳士"(!!!)表紙からかなり高まるね

*1:役名がサカモト、ナガノ、イノハラと本名!脚本・演出の御徒町凧さんは20年近く前から井ノ原くんと親交が深く、過去にV6シングル曲を作詞されたことも

*2:各種トニコンやV6コン特典映像

*3:V6 Next Generation 20年以上続く20th Centuryのレギュラーラジオ。

*4:TTT第一弾 戸惑いの惑星

*5:後にラジオで「あれよりは高尚だと思います」って 笑

*6:坂本くんは曲中にあまりスキンシップ的おふざけはしないのと、メンバーのお尻触るマンといえばかの有名な岡田くん。

*7:純な少年の心を忘れてないという褒め言葉です。でもトニセンにおける井ノ原くんって普通にかなり少年なんだよなぁ※後述

*8:TTTには一応"トニセンの既存曲を使い、それを軸として物語が進んでいく"というルールがあって、V6曲が歌われたのは初めて

*9:あえてナガノだけ入ってないのが意味深だった~サングラスのくだりとかと関係するんだろうけどやっぱり1回じゃわかんなかった

*10:なんとも説明しづらい。あと毛皮とグラサン

*11:衣装は王子様丈ジャケット派とゆるふわニット派がいそう

*12:でもアイドルってそういう仕事なのかもしれない

*13:私は"よっちゃん(12)"って呼んでたけど、後にラジオで"子イノ"って言ってた。かわいい。CV.博なのじわじわきたけど 笑

*14:余談だけど、舞台宣伝に出演したしゃべくり009で坂本くんがJKかな?ってくらい可愛く暴走してたの、一体何があったんだろう(可愛いからいいけど)って疑問だったのが観劇中に解消した。役に凄く影響されるタイプだから……!

*15:大阪公演何度かキャンセル待ち並んだけど入れず……ラジオでも言ってたけどこの舞台はグローブ座との相性が抜群に良すぎて~カオスな舞台@カオスな街~他の劇場だと混沌成分が減ったりするのかどうか確かめたかった。あと普通に地元でも観たかった

*16:一応ニュアンス的な推敲はしたから"感じたままで"のメッセージに反してるかもしれないけど